高度房室ブロックと完全房室ブロックの違い?

高度房室ブロックと完全房室ブロックの違い?

健康診断や病院の検査で「房室ブロック」という言葉を聞いて、ドキッとした経験はありませんか?
特に「高度」や「完全」といった言葉がつくと、「もしかしてすごく悪い状態なの?」と不安になってしまいますよね。
ご自身や大切なご家族がこのような診断を受けたら、誰だって心配になるのは当然のことです。

インターネットで調べてみても、専門用語ばかりでなかなか理解しづらいかもしれませんね。
この記事では、高度房室ブロックと完全房室ブロックの違いについて、できるだけ難しい言葉を使わずにやさしく解説していきます。
最後まで読んでいただければ、心臓の中でいま何が起きているのかがスッキリとわかり、これからの治療や生活への不安がきっと軽くなるはずです。
私たちと一緒に、心臓からの大切なサインについて学んでいきましょう。

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決定的な違いは「電気信号が少しでも伝わっているか」どうか

決定的な違いは「電気信号が少しでも伝わっているか」どうか
まずは一番気になる結論からお伝えしますね。
高度房室ブロックと完全房室ブロックの最も大きな違いは、心房から心室への電気刺激が「少しでも伝わっているか」それとも「完全に途絶しているか」という点にあります。

心臓は、上の部屋(心房)から下の部屋(心室)へと電気の信号が送られることで、規則正しくドクン、ドクンと動いています。
この電気の通り道が少し渋滞したり、途切れたりしてしまう状態が「房室ブロック」なんですね。

高度房室ブロックは、信号がなかなか伝わらないけれど、何回かに1回はギリギリ下の部屋まで伝わっている状態です。
一方の完全房室ブロックは、その名の通り、上の部屋からの信号が完全に遮断され、下の部屋にまったく届かなくなってしまった状態を指します。
似ている言葉ですが、心臓の中で起きている状況にはこのような明確な違いがあるんですね。

なぜ2つのブロックは違う状態として分けられるの?

なぜ2つのブロックは違う状態として分けられるの?
では、なぜこの2つは似ているようで違う状態として扱われるのでしょうか?
心臓の仕組みを少しだけひも解きながら、その理由を一緒に見ていきましょう。

心臓の電気の通り道とは?

私たちの心臓には、電気の信号を作り出す「発電所」と、その信号を伝える「電線」のようなものが備わっています。
発電所で作られた電気は、まず心臓の上の部屋(心房)を動かし、次に「房室結節」という関所を通って、下の部屋(心室)へと伝わります。
この関所や電線でトラブルが起き、電気がうまく伝わらなくなるのが房室ブロックの原因なんですね。
電気の伝わりにくさのレベルによって、第1度、第2度、第3度と段階が分けられています。

高度房室ブロックは「第2度の重症型」

高度房室ブロックは、分類上は「第2度房室ブロック」の仲間に含まれます。
第2度房室ブロックは、時々電気の信号が下の部屋に伝わらなくなる状態です。
その中でも、心房の興奮が2回以上連続して心室に伝わらない状態を、とくに高度房室ブロックと呼んでいるんですね。

医療の現場では、一般的に「3:1以下(3回のうち1回しか伝わらない、など)」の伝導比として扱われます。
例えば、2:1や3:1、4:1といったペースで、ある程度の拍はなんとか心室へ伝わっているのが特徴です。
完全に途切れてはいないものの、完全房室ブロックの一歩手前とも言える、とても注意が必要な状態なんですね。

完全房室ブロックは「第3度で完全に遮断」

一方で完全房室ブロックは、「第3度房室ブロック」とも呼ばれる状態です。
こちらは、上の部屋からの電気信号が関所で完全にブロックされ、下の部屋に一切伝わらなくなってしまった状態を指します。

「えっ、電気が伝わらないなら心臓が止まっちゃうの?」と驚かれるかもしれませんね。
でも、人間の体はとても賢くできています。
上の部屋からの信号が来なくなると、下の部屋(心室)が「自分でなんとかしなきゃ!」と独自のペースで電気を作り出し、ゆっくりと拍動を続ける仕組み(補充調律)が働くんです。
これを専門用語で「完全房室解離」と呼びますが、上の部屋と下の部屋が完全にバラバラのペースで動いている状態になっているんですね。

違いがよくわかる3つの具体的なポイント

ここまでのお話で、大まかな違いはイメージできたでしょうか?
さらに理解を深めていただくために、心電図の見え方や症状など、3つの具体的なポイントから違いを比べてみましょう。

1. 心電図での波形の見え方

病院の心電図検査では、この2つの違いがはっきりと波形に現れます。
心電図には、上の部屋が動くときの「P波」と、下の部屋が動くときの「QRS波」という波が記録されます。

  • 高度房室ブロックの場合:P波とQRS波の関係性が一部残っています。「P波・P波・QRS波」のように、いくつかP波が続いたあとにQRS波が続くため、規則性が見られるんですね。
  • 完全房室ブロックの場合:P波とQRS波がまったくの無関係になります。上の部屋(P波)は規則正しく動いているのに、下の部屋(QRS波)はそれとは無関係にゆっくりとした別のペースで動いていることが確認できます。
医師は、この「波と波の関連性があるかどうか」を見て、どちらの状態かを正確に診断しているんですね。

2. 日常生活で感じる症状の違い

どちらのブロックも、心拍数が少なくなる「徐脈(じょみゃく)」という不整脈を引き起こすため、現れる症状は似ている部分があります。
息切れ、強いだるさ、めまいなどが代表的ですね。
しかし、危険な症状の現れ方に少し違いがあることも知られています。

高度房室ブロックは、電気が伝わる時と伝わらない時が入り混じるため、急に心停止時間が長くなりやすいという特徴があります。
これにより、脳に血液がいかなくなり、突然のめまいや失神を起こす「Adams-Stokes(アダムス・ストークス)症候群」の原因になりやすいと言われています。

一方の完全房室ブロックは、下の部屋が独自のゆっくりとしたペースで動き続けるため、常に強い徐脈状態となります。
そのため、失神のリスクはもちろんですが、血液を全身に送り出す力が落ちてしまい、心不全の症状(むくみや強い息苦しさなど)を起こしやすくなるんですね。

3. 治療方針やペースメーカーの必要性

どちらの状態も、放置すると命に関わる危険性があるため、医療機関での迅速な対応が必要です。

高度房室ブロックも完全房室ブロックも、お薬などで原因を改善できない場合は、ペースメーカー治療の適応(対象)になることが多いです。
ペースメーカーは、遅くなった心臓の拍動を助け、正常なリズムを取り戻してくれる心強い味方なんですね。

とくに完全房室ブロックは、症状が強く出やすく緊急を要することが多いため、診断されたらすぐに入院やペースメーカーの検討が行われるのが一般的です。
高度房室ブロックも「完全房室ブロックに移行する一歩手前」として非常に重症度が高く扱われるため、主治医の先生としっかりと治療方針を話し合うことが大切になります。

2つの房室ブロックの違いのおさらい

ここまで、高度房室ブロックと完全房室ブロックの違いについて見てきました。
最後に、大切なポイントをもう一度整理しておきましょう。

  • 分類の違い:高度房室ブロックは「第2度の重症型」、完全房室ブロックは「第3度」にあたります。
  • 電気の伝わり方:高度は「一部の信号は心室へ伝わっている」、完全は「完全に遮断されている」状態です。
  • 心電図の違い:高度は「P波とQRS波の関連性が一部残る」、完全は「P波とQRS波が完全に無関係に動く」という特徴があります。
  • 危険性:どちらも失神や心不全などを引き起こす危険な徐脈であり、ペースメーカー治療が検討される重症な状態です。
一言で言えば、「なんとか繋がっているのが高度、完全に途切れて独立して動いているのが完全」と覚えていただければバッチリです。

不安なときは迷わず主治医に相談しましょう

「高度」や「完全」といった言葉を聞くと、どうしても怖いイメージが先行してしまいますよね。
そのお気持ち、とてもよくわかります。
しかし、現在では医療技術が進歩しており、ペースメーカーをはじめとした安全な治療法がしっかりと確立されています。

「心電図で引っかかったけれど、自分はこれからどうなるんだろう?」
「家族が診断されたけれど、日常生活で気をつけることはあるのかな?」

もし少しでも疑問や不安を感じたら、どんな小さなことでもかまいません。
遠慮せずに、かかりつけの循環器内科の先生に相談してみてくださいね。
先生方は、あなたの心臓の状態を一番よく理解してくれている頼もしいパートナーです。
この記事が、あなたや大切なご家族の不安を和らげ、前向きに治療に向き合うための第一歩になれば、こんなに嬉しいことはありません。